子宮頸がん(子宮頸癌)の放射線療法

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子宮頸がん(子宮頸癌)のI~II期では手術が、III~IV期では放射線療法が標準療法とされています。ですが欧米においては手術よりも放射線療法が奨められており、I~II期でも積極的に実施されています。

日本では子宮頸がん(子宮頸癌)の治療において、伝統的に手術が選択されてきました。かといって放射線療法が手術よりも劣っているわけではありません。海外の比較試験では手術と放射線療法の成績に差はなく、むしろ合併症の発生数では放射線療法が優れているとの報告があります。

放射線療法の大きなメリットは開腹する必要がなく臓器を取り出さないので、手術よりも体への負担が少ないことです。とはいっても正常組織も照射を受けるため、合併症が出ることがあります。合併症として卵巣機能低下、性交障害、膀胱障害、直腸障害が考えられます。

放射線の照射方法

通常、子宮頸がん(子宮頸癌)の放射線療法は体の外から放射線をあてる外部照射と、膣から子宮頸内に 線源を挿入して放射線をあてる腔内照射を併用して行います。

外部照射

外部照射は体の外から骨盤内に向けて放射線照射します。通常はお腹側と背中側の2方向から照射します。子宮頸部だけをピンポイントで狙うのではなく、がんの進展する可能性がある骨盤部のリンパ節、膣、傍大動脈リンパ節を収める広範囲に照射します。

卵巣は放射線に弱いため、照射によりその機能は失われてしまいます。卵巣機能が低下すると女性ホルモンが不足するので、閉経前だったとしても更年期障害の症状が出やすくなってしまいます。それを避けるため、放射線療法の前に卵巣を移動させる手術を行って照射範囲からずらし、卵巣機能を温存させる方法もあります。

通常は1日1回、月~金曜日の5日間の照射を5~6週間行います。 1回の治療時間は10~20分です。

腔内照射

膣からアプリケーターと呼ばれる専用器具を子宮内に挿入し、その中に放射線を発する線源を入れて治療します。X線などによりアプリケーターの位置を確認して、適切な位置に固定します。

腔内照射は腫瘍の近くから放射線を照射できるのが特長です。腫瘍に強力な放射線を当てることができるうえ、離れた正常組織への線量を減らすことができます。外部照射だけの治療に比べ、一緒に腔内照射を行った場合では確実に治療成績が向上します。

アプリケーターを挿入するのにどうしても痛みを感じます。痛みの程度は人によって違いますが、痛みを軽減するために鎮痛剤を使います。

通常は週に1回、計3~4回程度行います。

放射線化学療法(同時化学放射線療法)

III期の子宮頸がん(子宮頸癌)の標準治療は、放射線療法と化学療法(抗がん剤治療)を同時に行う放射線化学療法です。放射線の単独療法に比べ、良い成績が出ています。治療成績が向上する理由は、抗がん剤が放射線の感受性を高めるためだと考えられています。

使われる抗がん剤に決まりはありませんが、シスプラチンが広く使われています。

手術後に行う放射線療法

I~II期で広汎子宮全摘術を行った後、がんが広く浸潤していたりリンパ節転移を起こしているとわかった場合、再発を防ぐために追加で放射線を照射することがあります。放射線単独療法よりも副作用が強く出やすくなります。

放射線療法の限界

放射線療法に用いる線量はがんを消滅させる量を元にしているわけではありません。正常組織が耐えられる線量を上限として決めるため、基本的にはがんが大きくても小さくても同じ線量を照射します。上限以上の線量は照射しませんから、小さながんを消失させることができたとしても、大きながんを完全に消失さることができないかもしれません。また上限まで放射線治療を行ったが残念ながら骨盤内に再発した場合、原則として追加の放射線治療はできません。

子宮頸がん(子宮頸癌)の10~20%を占める腺がんは放射線の感受性が低く、扁平上皮がんに比べて治療成績が低下します。

 

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