卵巣癌の外科手術

卵巣癌の手術療法

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卵巣癌の治療では主に手術療法と化学療法(抗がん剤)を行います。
放射線療法は脳転移や骨転移した症例を除き、卵巣癌の反応が悪いのであまり行われません。

手術の目的

卵巣癌の手術には腫瘍を取り除くことの他に、卵巣がんであることを診断し、その進行期を決定するという意味があります。

経腟超音波エコー検査やMRIによって、手術前でも卵巣の状態をかなり詳しく調べられるようになりましたが、開腹して初めて、腫瘍が良性なのか悪性なのか、がんならば組織型(タイプ)はどれなのか、進行度(進み具合)はどの程度なのか、これらの情報を正確に得ることができるのです。

卵巣癌では手術前に卵巣に針をさして細胞を採取することはしません。それをしてしまうと、卵巣内にとどまっていたがん細胞が針で開いた穴からこぼれ出てしまい、進行度が高くなってしまう恐れがあるからです。

がんが片方の卵巣内にだけにある場合は1a期ですが、この時期であれば手術によりほぼ100%治ります。
早期であっても両方の卵巣と子宮を取り除くのが原則ですが、がんが片方の卵巣内だけにあって、妊娠を希望する場合は妊娠機能を温存する手術にとどめることがあります。

卵巣癌の手術適応基準

1a期

がんは片側の卵巣内にとどまっていますが、それでも手術は両側の卵巣と卵管および子宮の摘出、大網切除、傍大動脈リンパ節郭清を行うのが基本です。

ただし、年齢が40歳未満で妊娠を希望されている場合は、片方の卵巣と卵管摘出、大網の切除だけにとどめて妊娠機能を維持します。 ですが摘出した卵巣がんを調べてみて悪性度が高い場合はその限りではありません。

大網とは腹部の内臓を覆う網目のような脂肪組織で、胃から垂れ下がり卵巣に接していることがあります。そのため卵巣がんが転移しやすい場所です。

1a~2c期

この段階であれば肉眼的に見える腫瘍は全部取り除くことができます。

手術は両側の卵巣と卵管および子宮の摘出、大網切除、傍大動脈リンパ節郭清を行います。また手術後は抗がん剤による化学療法(補助化学療法)を追加することが少なくありません。

術後に補助化学療法(抗がん剤)を行う目的は、細胞レベルで残っている可能性のあるがん細胞を根絶やしにし再発を抑えていくことです。

しかし補助化学療法を行っても微小な癌細胞が残ってしまう可能性があるため再発・転移を完全には防げません。実際に手術後の5年生存率は1期で約90%、2期で約70%です。

 

3~4期

手術ですべてのがんを取り除くのは難しくなりますが、卵巣がんの場合には化学療法(抗がん剤治療)の反応が良いことが多いため患者さんの全身状態が許す限り、がんが浸潤・転移した臓器を摘出し体内に残るがんの量を減らし、術後化学療法を追加することで患者さんの予後改善を目指します。

ただし、患者さんの年齢や体力など条件が悪い場合には広範囲に臓器を取り除くことが必ずしもQOL改善につながらないこともあります。

残念ながら治療成績は悪く、5年生存率は3期で約30%、4期では約10%です。

再発時の手術について

腹腔内全体にがんが拡がっている場合やがんが抗がん剤に対して感受性が低い(効きにくい)場合には手術しても患者さんの体に負担がかかるだけで治療効果は得られません。

しかし、

  1. 初回治療から再発・転移までの期間がながいこと
  2. 再発病巣が1ヶ所ないしは2ヶ所に限局していること
  3. 化学療法(抗がん剤)に反応しやすいこと

の条件がそろい、手術をすることで患者さんの予後改善が期待できる場合には手術をすることがあります。

ネオアジュバンド療法について

手術の前に抗がん剤による化学療法をやっておいて、がんの大きさを小さきくしてから手術で腫瘍を摘出します。これをネオアジュバンド療法といいます。この方法によって根治手術ができた場合、3~4期の進行症例でも5年生存率を高めることができます。

卵巣癌の手術後の予後を改善するために

1期の卵巣癌では比較的良い治癒成績を期待できますが、2期以上では再発率が高いことをご理解いただけたかと思います。

 

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