卵巣癌の腫瘍マーカー(血液検査)について

卵巣癌の腫瘍マーカーの利点・欠点

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腫瘍マーカーは正常な細胞からも多少はつくられますが、がん細胞から特に多くつくりだされるたんぱく質や酵素で、がん(癌)の有無や種類、進行状態を示す指標となります。腫瘍マーカーの検査は、一般に血液を採取するだけで容易に検査できるため広く普及しています。

卵巣癌では腫瘍マーカーの数値を調べることで比較的詳しい情報を手に入れることができます。また手術後の取り残しがないか、抗がん剤の効果があったか、再発の兆候がないかなどをおおよその目安として判断することができます。

腫瘍マーカーの検査は簡便な方法ですが、いくつかの不確実な面もあります。
  • 腫瘍マーカーは偽陽性を示すこともある
  • ある程度卵巣癌が進行しなければ陽性(高い値)を示さないことがある
  • 進行卵巣癌でも陽性にならないこともある
  • 複数の臓器でつくられるためがん(癌)がある臓器を特定できない

腫瘍マーカーが高い値を示した場合でも、がん(癌)の疑いがあるに過ぎず卵巣癌の診断には画像検査(超音波エコー検査やCT検査、MRI検査)も並行して行い総合的に良性か悪性かを「推定」します。

卵巣がんの場合、針を刺して診断することはないため、総合的に考えて悪性の腫瘍(つまりはがん)である可能性が高いと考えられる場合には、手術を行い、摘出した卵巣を顕微鏡で詳しく調べます。(病理組織診断)

卵巣癌の血液検査(腫瘍マーカー)

卵巣癌の腫瘍マーカーは、主としてCA125やCA602が用いられます。陽性率はCA125やCA602には劣りますが、CA72-4やCA54/61、STN、CA19-9、CEA、GATなどが用いられることもあります。

※各マーカーの基準値は使用するキットの違いで基準値が異なります

CA125|卵巣癌腫瘍マーカー

【基準値:35U/ml以下・IRMA法】
卵巣癌に特異性が高く、診断や治療効果の指標として最もよく用いられます。 漿液性腺がん、移行上皮がん、類内膜腺がんで特に陽性率が高く、80~90%となります。

閉経後は値は安定しますが、閉経前は月経によって大きく変動します。

健康な方でも月経の最中やその前後では100U/mlを超えることが少なくありません。また妊娠、子宮内膜症などによっても上昇します。

CA602|卵巣癌腫瘍マーカー

【基準値:63U/ml以下・ELISA法】
CA125との相関関係が高く、卵巣癌に特異性が高く、診断や治療効果の指標として最もよく用いられます。

特に漿液性嚢胞腺癌を中心に陽性率が高く,補助的診断,治療効果の判定,再発の予知などに有用です。

CA72-4|卵巣癌腫瘍マーカー

【基準値:10.0U/ml以下・ECLIA法/4.0U/ml以下・RIA固相法】
卵巣癌ではムチン性嚢胞癌での陽性率が高く、また、消化器系の癌においても高い陽性率を示します。

CA54/61|卵巣癌腫瘍マーカー

【基準値:12.0U/ml以下・ELISA 法】
CA125は,漿液性襄胞腺癌を中心に高い陽性率を示すが,粘液性襄胞腺癌の陽性率が低く、子宮内膜症をはじめとする良性疾患で偽陽性となることもあり弱点となっています。

CA54/61は粘液性能嚢腺癌の補助的診断、治療効果の判定および転移・再発の予知などに有用です。

STN|卵巣癌腫瘍マーカー

【基準値:45U/ml以下・RIA固相法】
卵巣癌や各種消化器癌で高値を示し、良性疾患で低値を示す事から、癌特異性が高く、卵巣癌や胃癌再発例の補助診断,経過観察に有用です。

GAT|卵巣癌腫瘍マーカー

【基準値:13.6U/ml未満・EIA法】
GATは卵巣がん全体に対する陽性率はCA125やCA602に劣りますが、これらのマーカーがしばしば偽陽性を示す内膜症性嚢胞における偽陽性率が極めて低いため、良性・悪性卵巣腫瘍の鑑別に優れています。

CEA|卵巣癌腫瘍マーカー

【基準値:2.5(ng/ml)以下-RIA法/5.0(ng/ml)以下-EIA法】
CEAはもっとも一般的な腫瘍マーカーで、卵巣がん以外にも大腸がんや胃がんなど消化器のがんや肺がんなどで数値の上昇がみられます。そのため、CEAの値が高値を示しただけではがんの特定が難しいといえます。

卵巣がんの陽性率は約50%です。粘液性腺がんで感受性が高めです。また長期の喫煙により上昇します。

CA19-9|卵巣がん腫瘍マーカー

【基準値:37(U/ml)以下・IRMA法】
CA19-9は膵臓がん、大腸がん、胆管がん、各種消化器のがんで検出されやすい腫瘍マーカーです。
卵巣がんの陽性率は約50%です。

前述のとおり、腫瘍マーカーだけで確実に卵巣癌の状態を捉えることはできません。しかしながら腫瘍マーカーが上昇しているのに治療方針を再検討しなかったり、何ヶ月も様子をみるといった消極的な治療は、大切な時間を浪費してしまっている恐れもあります。またその時間が患者さんや家族の不安を高めてしまい、精神的な苦痛となってしまっているケースも見受けられます。

今後の治療方針について医師とよく話し合うことが重要ですし、場合によっては積極的にセカンドオピニオンを利用されることをお勧めします。

 

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