分子標的薬ザーコリ(クリゾチニブ)

ザーコリ(クリゾチニブ)の発売と適応

ザーコリカプセル(クリゾチニブ)は2012年に発売が開始された非小細胞肺癌治療(肺腺癌や肺扁平上皮癌など)に適応のある分子標的薬です。

ザーコリはジオトリフタルセバイレッサなど他の分子標的薬と同じように非小細胞肺癌の治療で使われる薬です。

ザーコリカプセル(クリゾチニブ)は手術ができない、あるいは手術後に再発してしまった非小細胞肺がんの治療薬で癌の増殖に関与するALK融合タンパクを産生するALK融合遺伝子をもつ非小細胞肺がんに対して保険適応となっています。

事前検査でALK融合遺伝子がある事が確認された患者さんのみがザーコリ(クリゾチニブ)を投与することができます。

ザーコリ(クリゾチニブ)が効く仕組み

ザーコリの概要

ザーコリは未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)のチロシンキナーゼ(TK)を標的とする「ALK-TK阻害薬(ALK-TKI)」です。

これだけですと何を言っているのか理解が困難だと思います。

もう少しわかりやすく説明すると、ザーコリは、ALK融合遺伝子という遺伝子を持っている肺がん患者さんに効果が期待できる分子標的薬であると言い換えられます。

まだ難しいですね。

ザーコリはALK融合遺伝子に作用する

ALK融合遺伝子とは、ALK遺伝子と他の遺伝子が融合してできた異常な遺伝子です。

ALK遺伝子は、細胞の増殖に関与している遺伝子です。

このALK遺伝子から作られるたんぱく質は「細胞を増殖させろ!」という指令を受けると細胞の増殖に関係するたんぱく質などを活性化させ、細胞を増殖させます。

しかし、時にALK遺伝子に他の遺伝子が融合してしまいALK融合遺伝子と呼ばれる異常な遺伝子が発生することがあります。このALK融合遺伝子が作り出すたんぱく質はALK融合タンパクと呼ばれます。

ALK融合タンパクは、そのエネルギー源となるATPと結合すると癌細胞を増殖させる合図を出すようになります。

「細胞を増殖させろ!」という指令がなくても常に細胞の増殖に関係するたんぱく質を活性化させてしまうため、無秩序に細胞を増やし続けてしまうのです。

ALK融合遺伝子が原因で肺癌になるのは非小細胞肺がん(腺癌や扁平上皮癌)の患者さん100人のうち3-5人程度だといわれています。

ザーコリと他の分子標的薬の違い

ジオトリフやタルセバ、イレッサはEGFRと呼ばれる上皮増殖因子受容体をターゲットにした分子標的薬です。

一方のザーコリは前述したようにALK融合遺伝子をターゲットとして分子標的薬ですから、イレッサやタルセバ、ジオトリフとは作用機序が異なります。

ザーコリ(クリゾチニブ)が使用できるからといって、従来からある抗癌剤(シスプラチンやカルボプラチン、タキソールなど)を使わないという事はありません。

患者さんの癌の状態や予想される副作用などを考慮し、ザーコリなどの分子標的薬を使用するか、あるいは従来型の抗癌剤治療を行うか決めていきます。

ザーコリは従来の抗癌剤と比べて吐き気や嘔吐、食欲不振や脱毛、骨髄毒性(白血球減少など)といった副作用は比較的出にくいのですが、肝機能障害や間質性肺炎などの副作用が出る傾向があります。

特に間質性肺炎は肺が線維化して硬くなり肺活量減少や酸素不足になるため、呼吸困難や咳、発熱などの症状から、悪化すると肺線維症という予後不良の状態になることがあります。

主な副作用

ザーコリは患者さんが独自の判断で服用(使用)を中止・開始したりなど、飲み方を変えたりすると危険な場合があります。

ザーコリの服用方法や副作用については、担当医師や薬剤師にご相談下さい。

30%以上に認められるのは、視覚障害や悪心、下痢、嘔吐、浮腫などです。

急性肺障害・間質性肺炎-ザーコリの副作用

ザーコリを服用中に、息切れ、呼吸が苦しい、咳および発熱等の症状が現れた時は急性肺障害、間質性肺炎の可能性があるため、速やかに医療機関を受診し、医師や薬剤師に相談して下さい。

急性の肺障害・間質性肺炎は症状がでたら我慢してはいけません。症状が出た場合、早く適切な処置を行わないと死に至る可能性のある副作用です。

ザーコリを服用した人100人中2人ほどの割合で現れる可能性があります。特に治療前から肺に炎症があったり、線維化している場合には副作用が現れやすく死亡する確率が高くなりますので、当てはまる場合はザーコリの投与に対して慎重な判断が求められます。

もちろん、全身状態が悪く体力が低下している場合も同様に副作用が現れやすくなります。

ザーコリは決して「マイルド」な薬でも「副作用がほとんどない」薬でもありません。

そのため服用開始当初は入院やそれに準じる管理の下で副作用が現れないか注意深く観察していく必要があるのです。

劇症肝炎、肝機能障害(ALT[GPT]上昇、AST[GOT]上昇-ザーコリの副作用

ザーコリを服用することで肝機能障害が現れることがあります。

肝臓は沈黙の臓器といわれているため自覚症状として実感していなくても血液検査でALTやASTの数値が上昇していた場合は、医師や薬剤師に問題がないか確認するようにしましょう。

定期的に行う血液検査の結果のコピーをもらうようにし、これらの数値に異状がないか常に確認するようにしましょう。

もちろん、異状が認められた場合は医師や薬剤師に伝え、必要に応じて適切な処置を受けるようにしてください。

骨髄毒性-ザーコリの副作用

白血球減少、血小板減少(鼻血、あおアザができやすくなる)など血液検査で異常がみられる事もあります。

上にも書きましたが、血液検査データのコピーをもらうようにし異状があれば医師や薬剤師に相談してください。

下痢・悪心・その他副作用-ザーコリの副作用

ザーコリの副作用には間質性肺炎の他に、極度の下痢が続いたり嘔吐するなど副作用が現れることがあります。

また、視力障害や味覚異常、めまい、食欲減退、腹痛、便秘、浮腫、疲労などが現れることもあります。

これらの副作用が出た場合も我慢せずすぐに医療機関を受診し医師や薬剤師にジオトリフを服用してから現れた症状を伝えてください。

肺癌の化学療法の副作用軽減・予後を改善するために

ザーコリ(クリゾチニブ)など分子標的薬の登場で非小細胞肺がんの治療は変わりましたが、それでも薬剤耐性の問題があり化学療法だけでは進行を抑え続けることは困難です。

しかし「癌が成長しにくい」あるいは「新たな癌を作らない」体内環境を構築することができれば肺癌の予後を大幅に改善することもできます。

当院では肺癌の化学療法(抗がん剤治療)による副作用の軽減、及び予後を改善するために積極的に代替医療を取り入れることをお勧めしています。詳しくは肺癌の無料相談をご利用ください。

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