腎臓がん(腎臓癌)の特徴と予後

腎臓がん(腎臓癌)の特徴

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腎臓は尿を作り出し、体内の老廃物や有害物質を排泄する役割を担っています。その大切な臓器にできてしまうがんが腎臓がん(腎臓癌)です。

腎臓にできるがんの90%が尿細管に発生する腎細胞がんであり、ここでは腎細胞がんを腎臓がん(腎臓癌)として解説していきます。

一般に腎臓がん(腎臓癌)は比較的進行が遅いと言われていますが、転移のために治療が難しいケースも少なくなくけして油断のできない病気です。年間10000人以上が新たに罹患し、2010年の統計では約7500人(腎臓のがん全体で)が命を落としています。

男性に多く見つかるがんで、女性よりも2~3倍多く発症します。40歳から増え始めピークは60歳代です。別の病気の検査で偶然に発見されるケースが増えてきました。

腎臓がん(腎臓癌)は抗がん剤や放射線が効きにくいため、治療のメインは手術です。腎臓は2個ありますから片方を摘出してもすぐに命には関わりません。そのため以前から腎臓の全摘出術が行われてきました。両側の腎臓にがんが見つかるケースはめずらしく、全体の1~4%です。

最近は全摘を避け、がんの部分だけを取り出す腎臓温存術が広まってきています。また開腹手術から、より負担の少ない腹腔鏡手術にシフトにしてきています。

組織分類と特徴

腎臓がん(腎臓癌)にはいくつかの組織型があります。

腎臓細胞がんの組織分類

淡明細胞がん
全体の70~80%
VHL遺伝子の変異が多く認められる
乳頭状がん
全体の10~15%
予後は比較的良好
タイプ2と呼ばれるものは予後が悪い
インターフェロンが効かない
嫌色素細胞がん
全体の約5%
予後は比較的良好
インターフェロンが効かない
紡錘細胞がん
(肉腫様がん)
全体の約5%
予後はもっとも不良
発生原因

石油化学物質や金属類を扱う仕事、喫煙、肥満、高血圧は腎臓がんの発症リスクになると考えられています。アジアでは発生頻度が少なく、欧米食は発症に影響している可能性があります。

長期の透析を受けている方は腎臓がん(腎臓癌)になりやすいことがわかっています。また遺伝的に腎臓がんになりやすい人がいます。

がん抑制遺伝子のVHL遺伝子が腎臓がん(腎臓癌)の発生に深く関わっていることがわかってきました。VHL遺伝子に変異をもつVHL症候群患者さんの40%程度に腎淡明細胞がんが発生します。VHL遺伝子に変異があると血管新生や細胞増殖が引き起こされてしまいます。それを防ぐための薬剤、分子標的薬が開発され、腎臓がん(腎臓癌)の治療薬として使われるようになってきています。

自覚症状

以前から腎臓がん(腎臓癌)の3大症状として、血尿疼痛腫瘤触知が知られています。ですが今はそのような自覚症状によって腎臓がん(腎臓癌)が見つかるケースは10%程度しかありません。腎臓がん(腎臓癌)の初期段階ではほとんど無症状です。自覚症状が出てくるときは、かなり進行した腎臓がん(腎臓癌)が疑われます。

多くの腎臓がん(腎臓癌)は、他の病気で腎臓の様子をチェックしたときに偶然みつかっています。超音波を使った、体の負担にならない安全な検査が普及してきたことで、早期で発見される腎臓がん(腎臓癌)が増えてきました。

腎臓の働き

腎臓は体の左右に1対の計2つ、握りこぶしくらいの大きさがある臓器です。尿を作って体内の老廃物や有害物質を排泄する役割を担っています。尿の約98%は水分ですが2%程度の尿素を含んでいます。尿素は体内で発生する有害なアンモニアを排泄しやすいように無毒化した物質です。

腎臓は毎日約180リットルもの血液を濾過し、約1.5リットルくらいの尿を作り出しています。老廃物を排泄し、電解質や水分の調整も行います。それ以外にも血圧をコントロールするホルモンや赤血球を増やすホルモンを作り出したり、カルシウムの吸収に関わるビタミンDを活性化する働きを持っています。

腎機能が極度に低下すると生命が危険にさらされます。その場合は腎透析を行って老廃物を人工的に体外排泄させる必要があります。

腎臓がん(腎臓癌)の予後

早期の腎臓がん(腎臓癌)であれば予後は良好ですが、進展に伴い徐々に生存率は下がっていきます。ゲロタ筋膜を超える、もしくは遠隔転移を伴うステージIVになると予後は厳しいと言わざるを得ません。なお腎臓がん(腎臓癌)は5年後、10年後でも再発が起こる可能性があります。

腎臓がんステージ別5年生存率
(癌研有明病院)1981~2007

ステージ I
92%
ステージ II
78%
ステージ III
53%
ステージ IV
32%

腎臓がん(腎臓癌)は抗がん剤や放射線が効きにくいがんです。そのためがんが広がってしまい、手術で全てのがんを取りきれない場合には治療の選択肢があまりありません。

がんが広がってしまったときにはインターフェロン、分子標的薬による治療が行われます。しかし長期間がんの進行を抑えられるわけではなく、なかなか満足のいく成果を上げられていないのが現状です。

腎臓がん(腎臓癌)に限ったことではありませんが、検査を受けて早い段階で発見することが大切です。早い段階で治療するほど高い治癒率を得られます。

 

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