大腸癌の内視鏡的切除

早期大腸癌に対する内視鏡的切除

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大腸壁は内側から「粘膜(粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板)」「粘膜下層」「固有筋層」「漿膜」で構成されています。このうち日本では「粘膜」「粘膜下層」までの深さにとどまる大腸癌を「早期がん」、固有筋層までの深さに達したがんは「進行がん」と呼んでいます

大腸癌が粘膜内にとどまる早期がんの場合には内視鏡的治療でほぼ100%根治を目指せます。

また粘膜下層まで浸潤しているがんでも内視鏡的切除や比較的小さな範囲の腸管切除術で約97%は治すことができます。

粘膜または粘膜下層にとどまる早期がんは隆起型(有茎性<ゆうけいせい>、亜有茎性、無茎性)と表面型(表面隆起型、表面平坦型、表面陥凹型)に分けられます。

内視鏡的ポリペクトミー

内視鏡的ポリペクトミーは隆起型のがんを対象とした治療法です。具体的には内視鏡の先端の穴からスネアと呼ばれる輪になったワイヤーを出して輪をポリープにひっかけて締め付け、高周波電流を流して切除します。内視鏡的ポリペクトミーではほとんど入院の必要はありません。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)は形が平らな表面型のがんを対象とした治療法です。具体的には粘膜下に生理食塩水を注入して腫瘍を浮き上がらせてポリペクトミーの要領で病変を切除します。内視鏡的粘膜切除術(EMR)はまれに出血したり腸に穴があくことがあるため短期間の入院が必要となることがあります。

早期がんに対する内視鏡的切除後の病理検査

 大腸癌の内視鏡的切除後には病理検査が行われ、顕微鏡で判定する組織学的診断がなされます。

腫瘍が粘膜にとどまり粘膜下層への浸潤がなく、切除した切り口(断端)にがんが見つからなければ内視鏡的切除のみでほぼ100%治すことができますので、治療は終わります。

しかし、粘膜下層に浸潤していた場合で、次の条件のいずれかが認められる場合にはリンパ節転移の可能性が10%程度認められるためリンパ節切除をともなう腸管の切除(=根治手術)が進められます。

  • 切除した腫瘍が低分化腺がん・未分化がんである
  • 切除断端にがん細胞が認められる
  • 脈管(血管またはリンパ管)の中にがん細胞が認められる
  • 粘膜下層への深い浸潤が認められる(1000μ以上である)

根治手術を行った場合の5年生存率は97%前後になります。

一方で高齢者や心臓が悪い、肺が悪いなどいろいろな病気があり根治手術のリスクが高い患者さんは、無理をして根治手術を受けると命を落とす危険性もあるため根治手術はせずに経過を見ていく方が良いと判断されることもあります。その場合の5年生存率は通常90%前後になります。

大腸癌の手術療法

大腸癌の腹腔鏡手術

腹腔鏡手術(腹腔鏡下手術)は、お腹に小さな穴を開けて炭酸ガスでお腹を膨らませ内視鏡(腹腔鏡)を挿入し、テレビモニターの画像を見ながら鉗子(かんし)や電気メスを使って大腸を周囲からはがし大腸を創(ポート)から取り出し切除と吻合を行います。

腹腔鏡手術(腹腔鏡下手術)のメリットは傷口が小さくて済むため術後の疼痛も少なく、美容的にも良好で、術後短期間で退院できる、腸閉塞の危険が小さいなど体への負担が少ないという点があげられます。

一方、腹腔鏡手術(腹腔鏡下手術)の欠点は特殊な技術・トレーニングを必要とし、外科医のだれもが安全に施行できるわけではない、つまり、どこの施設でも安全に腹腔鏡の手術が施行できるわけではないこと、病期の診断や細かな切除が難しいなどです。

したがって、腹腔鏡手術を勧められた場合には、腹腔鏡手術の専門医がいるのか、現在まで何例の治療経験があるのか、などを確認すると共に開腹手術と比較した長所、短所の説明を十分に受けて、腹腔鏡手術か開腹手術かを決定する必要があります。

現時点で、腹腔鏡手術は、手術に比べてリンパ節転移や腹膜転移の確認に劣るため、リンパ節転移や腹膜への転移が疑われるような、大きく、深達度の深い大腸癌に対しては適応とならない事が一般的ですが、一部施設では開腹手術と同等の安全性や治療成績が得られるのかについて臨床比較試験が実施されています。

大腸癌の開腹手術

結腸がん(結腸癌)の手術

通常腸管は約20cmほど切除します。そして必要に応じてがんの周りのリンパ節を切除します。これをリンパ節郭清(かくせい)といいます。

粘膜がんや腺腫ではリンパ節転移は起こっていないと考えられるためリンパ節郭清は第1群までのリンパ節を切除します。

粘膜下層がんでは第2群までのリンパ節郭清を行います。

がんの浸潤が固有筋層以上深い場合には第3群リンパ節まで郭清を行います。

開腹手術のメリットはお腹の中を直接見ながら、直接手で触りながら手術ができるため、病期の診断がより正確にできることやリンパ節郭清など細かな切除ができる点にあります。

一方、開腹手術のデメリットは傷口が大きく痛みが大きいこと、腸閉塞の危険が腹腔鏡に比べて大きいことなどがあります。

直腸がん(直腸癌)の手術

直腸は狭い骨盤の中で膀胱や子宮、膣、前立腺などの泌尿器や生殖器などに囲まれています。また排尿や性機能に重要な自律神経や排便に重要な肛門括約筋も直腸近くに隣接しています。手術でこれらの神経や筋肉を傷つけると排尿障害や性機能障害、排便障害などをおこす可能性があります。

そのため直腸がん(直腸癌)の手術は複雑で、局所を切除するだけの手術から、いくつもの臓器を一緒に切除する拡大手術まであり、その中で最も妥当な術式を選択する必要があります。

術式としては前方切除術や低位前方切除術、超低位前方切除術、Miles手術(腹会陰式直腸切断術)、内肛門括約筋部分切除、骨盤内臓器全的術などがあります。

肝臓や肺に転移した大腸癌の手術

大腸癌では条件次第で肝臓や肺に遠隔転移があっても手術をします

一般的にがんが他の臓器に転移(遠隔転移)した場合には手術は行わずに抗がん剤治療などを行いますが、大腸がんでは肝臓や肺に転移しても条件次第では手術をすることがあります。

転移巣を切除することにより根治が期待できる場合には手術が最も余命を延ばすと考えられているのです。転移巣の切除が可能かどうかは転移巣の位置や数、大きさなどから判断します。

大腸癌の治療効果を向上し予後を改善する方法

当院では大腸癌(大腸がん)治療の副作用の軽減や再発・転移のリスクを抑えていくため、進行した大腸がんの病状悪化を止め病状を改善するために積極的に代替医療を取り入れることをお勧めしています。通院が難しい方でも当院の代替医療を受けていただけます。詳しくは大腸癌の無料相談をご利用ください。

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